潮干祭ファッションウォッチング

潮干祭の視覚的魅力のひとつは、豪華な山車とそれを操る男たちの着る伝統的な
衣装との調和でしょう。 看絆図鑑でご紹介したのが基本となる「組看絆」。
この他にも祭りでの地位や役職によって細かくその衣装が決められています。


潮干祭当日の男たちのファッションを「MEN’SCLUB」風にウォッチング!!

注: 下の写真及び文章はすべて田中組の例です。組によって看絆の色や役職の呼称等
が異なりますのでご了承ください。(他組の方、情報お待ちしております)

これが基本的な祭り参加者の衣装。
ヨチヨチ歩きの幼児から腰のまがったご老人まで、
山車を曳っぱるためには必ずこの衣装を着用しな
ければならない。


組看絆の下に着けているのが「装束」。
腹掛け股引(ももひき)、
すねには
脛巾(はばき)、
腕には腕抜き(うでぬき)、
黄色の
を腰に締め、
足は
足袋(わらじを着用する者もあり)、
組手ぬぐいを鉢巻き状に締めて
はい!祭り装束のできあがり。


くすんだブルー系で統一された中に赤と黄色の
アクセントが効いています。


主に梶棒を担当する若者たち
の衣装。


組看絆を脱ぎ、さらしを巻いた上半身の肌
が露出している。


一見「ヤンキー風(?)」に見えるが、全員
きちんと装束を着けた昔ながらのいでたち
で、これはこれで若々しくて威勢がよくて
格好良い。


最近のトレンドは尻に幅広に巻いた帯と、
乳首が擦れるのを防ぐバンドエイドか・・・
(どちらも長老が眉をひそめてますけど)




潮干祭の歴史と伝統の息吹を最も感じさせてくれる衣装2態

左は「取締」、右は「初飛(はっぴ)」が着用する衣装。
「取締」は山車の運行や組員の行動全般を監視する役、
「初飛」は山車運行の最高司令長官的役職で、
背中に挿した采(ざい=采配)と首から下げた拍子木を
使って山車のSTOP&GOを指示する。


どちらもしぶいパターンの軽衫(カルサン)=裁着(たっつけ)袴に
カラフルな羽織がひときわ目を引く。


特に「初飛」の、胸の組紋の金刺繍と背中の鷹の刺繍(お見せできな
くてごめんなさい、是非実物を潮干祭でご覧ください)は、これはもう
芸術品といってもいいでしょう。

山車操縦の指令塔
「総目付」


綱・梶棒両方に目をくばり、
山車操縦に関する実質的な
指示を出す、最もキーマン的
役職。

装束でビシッと固めた上に、
くすんだうぐいす色の羽織看
絆(組紋の金刺繍入り)が、
とても凛々しい。

これまた背中に采を挿す。



山車後方から目を光らせる
「後目付」


山車の後方に付き、後方から山車運行に目を配り、
後棒の若者を統括する役職。


総目付と同様、装束の上にこちらは
黒の羽織看絆を着る。


黒に金刺繍が精悍さを感じさせる

潮干祭の花形「色看絆」
何と言っても潮干祭一の花形 「赤看絆」。

正式には「若手」と言って、大綱の根元から
左右に出ている「若手綱」(梶棒に掛けて
山車の楫切りを補助する特殊な綱)を担当
する。

山車進行方向を直接指示したり、棒〆めを
取り仕切ったり と若者のリーダー的存在。

真っ赤な厚手の看絆がひときわ目立つ。
通称「白看絆」、正式には「目付」という役職。

大綱の最も山車寄りのところを担当し、山車
操縦の実行部隊のトップ。

山車の進行状況に常に目を配り、「赤看絆」
に指示を出したり、時には赤看絆を補佐したり
する重要な役職。
(もと赤看絆経験者も多い)


白い厚手の看絆に黒襟、背中のしるしも黒
と、おとなの風格を感じさせる色看絆。
赤・白絶妙のコンビネーションで見事に山車を操る

神前では羽織袴の正装で

式典に参列する田中組の理事さん
(組の最高責任者=組長?)

山車巡行に並行して神前神社、尾張
三社では神様の「出発」「到着」「おい
とま」「帰宅」の際、それぞれ神事が
執り行なわれる。

これには皆、紋付羽織袴の正装で
参列する。

(神事が終わると超特急で看絆に着
替えて、山車までダッシュ! という者
も多い)


神輿に付き従う「白装束」

山車の前を進む神輿行列は本厄の人たち(かぞえで42歳)が担当。
敬虔な神のしもべであることを表す白一色の古風な装束に黒い烏帽子。
が、行列が終わるとやはり超特急で看絆に・・・・ となる。

出世への関門 「年行司」

梶棒担当を卒業した若者が次のステップ
に出世するため、一生に一度必ず経験す
るツラ−イ仕事。

この年は山車運行には一切タッチできず
ひたすら下働きだけ。

祭りの準備や寄り合いの後片づけ、コップ
洗い、祭り当日は酒やビールの手配で
走り回らねばならない。

着物の裾を端折って、腰巻きチラリに
年行司用羽織看絆 というスタイル。
小道具は常に小脇に抱えた一升ビンと
ジャイアントサイズのビールビン。

「ガンバレっ!! 年行司!」

そして最後に・・・
祭り一切の脚本・演出・制作・効果
を担当する「若者頭」



通称「頭役(とうやく)」と呼ばれ、
いわゆる「スタッフ部門」として祭り関連一切
の計画から準備、手配、執行まで取り仕切る。
本当の祭り好きでなきゃやってられない裏方
的仕事も多いが、おかげで1年中
お祭りにかかわって生活して
いける幸せも感じる(・・・しかない?)。

やはり着物の裾を端折って、腰巻きの白
をチラリ、羽織様の役員看絆を着用する。

「若者頭」→「若者頭後見」→「組委員」・・
と何十年もかけて地位があがっていくが
衣装はすべて同じ。 (看絆の襟につけた
小さな房の色でかろうじて識別できるだけ)
お気づきかもしれませんが祭り参加者の衣装は、股引やもんぺ等の「ズボン組」と
腰巻きチラリの「スカ−ト組」の2つに大別されます。
「ズボン組」が祭りにおけるライン部門、「スカート組」がスタッフ部門 とお考えいた
だいていいでしょう。

いかがでしたか? ここではご紹介しきれなかった(画像がなかった?)役割や衣装がまだまだたくさんあります。また各組によって役割の分担の仕方やその呼称、そして衣装の色やディテ−ルも異なります。

この完璧なまでに細分化された役割分担があるからこそ伝統ある潮干祭は一分の隙もなく整然と執り行なうことが可能となり、また役割に応じて着用する昔ながらの多様な衣装と山車の壮麗さがひとつになって、見る者を異次元の世界へと誘ってくれるのです。