神楽車平成の大改修事業

(平成12年2月〜平成15年3月)

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 平成12年2月13日の組大会(同時開催:神楽車の彫物と資料展)を出発点として、以来足掛け4年にわたる田中組の「平成の大改修事業」が本年春をもって無事完工を迎えることができました。
 具体的事業内容としましては @ 傀儡師の修復  A 彫刻の全面的修復  B 組事務所の改築 を3本柱に、さらに形の無いもの、「組織」「歴史」「伝統」といった部分にまでメスを入れ、山車・組両面についての総合的な見直しも行ってまいりました。。
 この事業は現神楽車165年の歴史、300年とも云われる田中組の歴史の中でも画期的なもので、伝統ある神楽車、田中組を末永く後世に引き継いでいくうえで、大いに意義ある事業であったと自負いたしております。

 今回の改修事業に際しましては、組員はもとより、亀崎地域の皆様、潮干祭関係者の皆様、各行政機関、さらに実際の修復作業に関わっていただいた関係各位のひとかたならぬご支援・ご協力をいただきましたことを、ここに改めて感謝申し上げます。
平成15年 春 田中組 理事 久野勝敏

一、 傀儡師の修復

松永忠興師
 「 竹田からくりの生きた化石 」 として民俗学的にも 伝統芸能の分野でも 貴重な文化財とされている傀儡師には、学術的な裏付けに基づいた修復が必要と判断し、 美術院国宝修理所の松永忠興師に今回の修復を依頼しました。
分解された人形
 
 
 平成12年9月からのべ1年の工期を要して修復された傀儡師は、 老朽化した部材をすべて江戸期の材料・技法にこだわって復元新調、さらに損傷によって使われなくなっていた旧部材を修理して再利用するなど、江戸期にこの傀儡師が初めて製作された時の姿そのままに見事によみがえりました。


修復された傀儡師
修復された知盛、船(義経・弁慶・船頭)、波板

二、 彫刻の修復

有馬白匠要治師
 天保8(1837)年 立川常蔵昌敬作の神楽車の彫刻はこれまで本格的な修復を一度も行なっていませんでした。過去の山車転倒などによる彫刻の破損に対しても組員 あるいは 彫常師・竹内久一師らによる応急処置的補修が行われてきたにすぎません。  これは、立川流彫刻の命ともいうべき「下絵」が入手できなかったからだと考えられます。
修復された壇箱(蟇仙人・鉄拐仙人・蘭亭の庭)

 今回の大改修では昌敬の末裔および諏訪市博物館のご尽力・ご協力により、昌敬直筆の下絵を入手することができ、これによって初の本格的修復が実現したのです。 
 165年もの永い期間手付かずのまま老朽化し、破損・欠損も激しい膨大な数の彫刻を一点いってん 下絵どおりに修復していく。この気の遠くなるような作業を今回依頼したのが、
ひび割れ補修中の
鉄拐仙人
小郡の名工有馬白匠要治師。
 有馬師には 神楽車のサヤを改造した工房に逗留願い、 あくまでも江戸技法にこだわった、下絵に忠実な修復・復元をお願いしました。 工期およそ2年半、有馬師が手をいれた彫刻実に200点以上という大作業のすえ、昌敬の精緻を極めた繊細な作風が見事によみがえりました。
  また今回の修復に際し、下絵の添え書きや古文書等を調査する中で、神楽車の歴史や彫刻の題材に関するいくつかの新しい発見(壇箱の花鳥の題材は蘭亭の庭であった・・・) もありました。今後さらに調査を進め、別の機会に発表したいと考えています。

左:修復前の高欄獅子の部材 右:下絵どおりに復元された高欄獅子

壇箱側面 幻の「水くぐりの梅」復元  左:下絵 中:修復前 右:修復後

三、 組事務所の改築

田中組新事務所
   築80年とも100年以上とも云われた旧田中組事務所。
永年の使用で老朽化が進み、多人数が集う施設としてはこれ以上の使用は危険という状態にまでなっていました。
 組員の悲願でもありました 組事務所の建て替えを今回の平成の大改修の締めくくり事業として実施しました。 
 
 約半年の工期を経て完成した新事務所は純白の外壁と蔵風の外観とがあいまって、隣接する秋葉社の緑と程よく調和し、歴史と伝統の田中組にふさわしい落ち着いたたたずまいを見せています。
秋葉社石段より事務所を望む  右は旧事務所

起工 平成14年 7月14日
竣工 平成14年12月27日
構造 鉄骨二階建
敷地面積 130.75u (39.6坪)
建築面積  92.04u (27.9坪)
1階 からくり練習場 34.5畳
2階 会議室(和室) 12.5畳
事務室(洋室) 13.4畳
設計監理 梶川設計室
建築工事 (株)七番組
1階 からくり練習場


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